少年スポーツでバドミントンのスマッシュを受ける場面を考えます。速い羽根に対して「よく見て追いなさい」と声をかけたくなりますが、実際に受ける側が使っているのは、羽根を追い続ける目だけではありません。飛んでくる時間と、人が反応に要する時間を並べて、どこを見ているのかを分けて説明します。数字には前提を添え、断定できないところは目安と書きます。
公開 2026-09-29
バドミントンのスマッシュは、羽根が受け手に届くまでの時間がとても短い場面があります。そのため「羽根をよく見て、目で追ってから動く」というやり方は、間に合わないことがあります。
受ける側が実際に頼っているのは、羽根を追い続ける目よりも、相手が打つ前の動きに気づく反応と、相手の全身を視野に入れておく周辺視野です。この記事では、時間の見積もりを添えて、その中身を要素ごとに分けて見ていきます。言い切れないところは目安と書きます。
前提を置いて見積もります。スマッシュを打つ人と受ける人の間を約6m、受け手に届くころの羽根の速さを毎秒30〜50m(時速108〜180km、空気抵抗で大きく落ちたあとの目安)とします。
この前提だと、羽根が届くまでの時間は「6m ÷ 50m/s = 約0.12秒」から「6m ÷ 30m/s = 約0.20秒」で、0.12〜0.20秒が目安になります。一方で、合図を見てから体が動き出すまでの単純な反応は、0.2秒前後が一般的な目安とされます。
つまり、羽根が届く時間は反応の時間と同じくらいか、それより短いことがあります。打たれてから羽根を見て動いても間に合わない場面が出てくる、というのがこのテーマの出発点です。数字はあくまで前提つきの目安で、コートの位置や打ち方で変わります。
目の働きには、動くものをなめらかに追いかける追従、視線をパッと別の場所へ移す跳躍、視野の端で気配をつかむ周辺視野、そして合図に対する反応があります。スマッシュのように短い時間で決まる場面では、羽根そのものを追従でとらえ続けるのは難しくなります。
追従が追いつかないぶん、受ける側は打たれる前の情報に頼ります。相手のラケットの引き、体の向き、肩や腰の動き。これらを先に見ておいて、来そうな場所へ体を準備します。ですから使っているのは、羽根を追う目というより、打つ前の合図に気づく反応と、それを視野に入れておく周辺視野だと言えます。この点が、羽根を長く追える卓球のラリーとは違うところです。
では、その合図はどのくらいの大きさに見えているのでしょうか。相手はネットの向こう、数メートル先にいます。遠いぶん、相手の全身や腕の振りは、視野の中では意外と小さく収まります。次の表は視角(大きさ÷距離で決まる、見た目の角度)の目安です。表の「画面」の列は、ここでは見る対象を指します。横幅と距離は同じ単位(m)で置いています。
前提は、相手までを約6m、腕とラケットの振りの広がりを約1.5m、体幹を約0.5mとした場合です。振り全体でも約14度で、横向きに持ったスマホの画面(約24度)より狭く収まります。言いかえると、相手の動きは視野の広さが足りなくて見えないのではなく、動きが速くて最初の合図に気づけるかどうかが課題になりやすい、ということです。
| 画面 | 横幅の目安 | 見る距離 | 視角 |
|---|---|---|---|
| 相手の腕とラケットの振り | 1.5 m | 6 m | 約14度 |
| 相手の体幹 | 0.5 m | 6 m | 約5度 |
| スマホを横向きで持つ | 0.15 m | 0.35 m | 約24度 |
メトレのサイトには測定が3種あります。周辺視野の広さ、反応速度、跳躍の速さです。スマッシュを受ける場面に置き換えると、それぞれ次のように対応します。
進め方の目安は、1種目あたり60〜90秒、週3回程度です。これは運用上の目安であって、効果を裏づける研究に基づく数字ではありません。回数を増やすことより、正しい大きさ(視角)で行えているかのほうが大切です。画面の大きさは、クレジットカードや免許証(幅85.60mmで規格が同じ)を物差しにして合わせられます。
いま言えないこともはっきりさせておきます。これらの測定やドリルで、スマッシュへの反応がどれだけ変わるかを示す自社のデータは、まだ持っていません。ですので「取れるようになる」といった言い方はしません。できるのは、いまの状態の目安を測り、種目を実際の場面に置き換えて、無理なく続けやすくすることまでです。子ども本人には、羽根そのものより「打つ前の相手」を見る、という声かけから始めるのが現実的です。
スマッシュを受けるとき、羽根を目で追えばいいですか?
追い続けるのが難しい場面が多いです。前提つきの見積もりでは、羽根が届く時間(約0.12〜0.20秒)が、人の単純な反応の時間(0.2秒前後の目安)と同じくらいか、それより短いことがあるためです。打たれてからでは間に合わないことがあるので、相手が打つ前の動きを見ておくほうが現実的です。
動体視力を鍛えれば、スマッシュを取れるようになりますか?
そう言い切れる自社のデータは、いまありません。断定はできません。この記事で説明したのは、その場面で主に使われているのが追従よりも反応と周辺視野だ、という要素の分け方までです。
スマホだけで練習できますか?
種目によります。反応の課題は約10度で成立するのでスマホでも扱えますが、周辺視野の課題は約60度が要り、スマホの画面(横向きで約24度が目安)では届きません。まずカードを物差しに、いま何度出せているかを確かめてください。
どのくらいの頻度でやればいいですか?
1種目60〜90秒、週3回程度が目安です。ただしこれは運用上の目安で、効果を裏づける研究に基づく数字ではありません。回数より、正しい大きさ(視角)で行えているかを見てあげてください。
測定の結果はどこに保存されますか?
結果は端末に保存され、あわせて結果の数値をGoogleアナリティクス4へ送っています。個人を特定する情報は取得していません。詳しくはプライバシーポリシー第5項で開示しています。
記事に広告は出ますか?
記事に広告を1枠出すことがあります。その場合は、広告である旨を必ず表示します。
いま見ている画面が何度に見えているかは、トップページでカードを当てて測れます。 較正した値はこの端末のブラウザに保存されます(アクセス解析に送るのは視野角・視距離の概数だけです)。
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