ノールックパスがなかなか通らない——その原因を「隠す技術」としてではなく、視線の外にいる味方を何度の角度でとらえているか、という周辺視野の仕組みから考えます。コート上の位置から角度を見積もり、メトレの測定や課題にどうつなげるかまで整理しました。
公開 2026-09-22
ノールックパスは相手を欺くための技と思われがちですが、体の仕組みでいうと「視線を別の方向に向けたまま、周辺視野でとらえた味方へ出すパス」です。目の中心でまっすぐ見ているのはごく狭い範囲だけで、味方が視線の中心から大きく外れているとき、そこは周辺視野の担当になります。
つまりノールックパスが通るかどうかは、隠す技術というより、視線の外にいる味方をどれだけ正確にとらえられているか、という周辺視野の課題に近いといえます。ここでは「なぜ通らないことがあるのか」を、コート上の角度から見ていきます。
味方が視線の中心から何度ずれているかは、コートでのおおよその位置から見積もれます。目安として、視線からの角度 = arctan(横のずれ ÷ 前方の距離) で計算しました。走る向きを視線の正面としたときの値です。実際は首や体も動くので、あくまで目安です。
| 場面(速攻の例) | 横のずれ | 前方の距離 | 視線からの角度 |
|---|---|---|---|
| 真横に近い味方 | 7m | 2m | 約74度 |
| 斜め前を走る味方 | 7m | 4m | 約60度 |
| ウイングの味方 | 5m | 5m | 約45度 |
| やや前の味方 | 3m | 6m | 約27度 |
| ほぼ正面の味方 | 2m | 6m | 約18度 |
速攻でノールックパスを狙う場面ほど、味方は視線から45度以上ずれた位置にいます。目の中心ではっきり見える範囲を超えていて、位置は周辺視野でとらえることになります。周辺視野は、味方が「そこにいる」ことや「動いた」ことはとらえやすい一方で、正確な位置や速さは中心ほどはっきりしません。
ノールックパスが味方の少し前や後ろに流れてしまうのは、この粗さと関係していると考えられます。相手を欺けても、味方に合わなければ通りません。ノールックパスの成否は、視線の外の情報をどれだけ細かく扱えるかにかかっている面があります。
メトレのドリルは29種あり、種目ごとに必要な視角が違います(反応の課題で約10度、周辺視野の課題で約60度)。周辺視野の課題は、中心を見たまま端に出る印を処理するもので、視線を外して味方をとらえるノールックパスと働きが近いといえます。
サイトには測定が3種あります(周辺視野の広さ・反応の速さ・跳躍の速さ)。周辺視野の広さの測定は、いま自分が中心からどのくらい外側まで拾えているかの目安になります。まず測ってから、上の表の45〜60度あたりと見比べると、パス場面との距離がつかみやすくなります。測定結果は端末に保存され、その数値はGoogleアナリティクスにも送っています。個人を特定する情報は取得していません。
1種目は60〜90秒、週3回程度が目安です。これは運用上の目安で、効果を裏づける研究に基づく数字ではありません。回数を増やすより、正しい大きさ(画面が必要な視角に届いているか)で行えているかのほうが効きます。
大人が見るなら、まず頭ごと動かして端を見ていないかを確かめてください。周辺視野の課題は、目だけ中心に置いたまま端を拾うのがねらいなので、顔ごと向けてしまうと別の練習になります。パスが通る・通らないは相手や状況にも左右されるので、うまくいかない日があっても、それだけで判断しないでください。
ノールックパスは目を鍛えれば通るようになりますか。
そう言い切ることはできません。パスの成否は味方の動きや相手の位置にも左右されます。ここで説明したのは、速攻では味方が視線から45〜60度ほど外れることが多く、その範囲は周辺視野の担当になる、という仕組みの話です。周辺視野の課題は、その働きに近い練習だといえます。
ノールックパスは危ないので、まっすぐ見て出す方がよいのでは。
場面によります。確実さを優先するなら、視線を向けて出すのが基本です。一方で、相手に読まれにくい・素早く出せるといった利点もあります。まずは普通のパスで正確さを土台にし、その上で視線を外す練習を少しずつ、が無理のない順番だと考えられます。
何度まで見えていれば十分ですか。
一概にはいえません。上の表では、速攻のノールックパスで味方が45〜60度ほど外れる例を挙げました。まずサイトの周辺視野の広さの測定で、いま自分がどのくらい外側まで拾えているかの目安を知ることをおすすめします。目安であって、合否ではありません。
子どもがパスを外すと落ち込みます。どう声をかければいいですか。
パスが通らない原因は、味方の速さや相手の寄せなど、本人以外にもたくさんあります。「見えていなかったのか」「距離が合わなかったのか」を一緒に振り返るくらいが目安です。うまくいかない日を、そのまま実力と決めつけないであげてください。
どのくらいで変化が出ますか。
いまは断言できません。メトレには測定の記録を残す機能がまだなく、続けた結果を数値で示せる段階ではないためです。1種目60〜90秒・週3回程度はあくまで運用上の目安で、効果を約束するものではありません。
いま見ている画面が何度に見えているかは、トップページでカードを当てて測れます。 較正した値はこの端末のブラウザに保存されます(アクセス解析に送るのは視野角・視距離の概数だけです)。
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